代理権

« Back to Glossary Index

代理権とは、ある人(本人)に代わって法律行為を行うために、他の人(代理人)に与えられる権限のことを指します。この権限に基づいて代理人が行った法律行為は、原則として本人に対して直接効果が帰属します。たとえば、不動産の売買契約を代理人が締結した場合、その契約の効果は代理人ではなく本人に及びます。代理権は、本人が明示的に与える場合(顕名による任意代理)もあれば、法律に基づいて当然に認められる場合(法定代理)もあります。代理人が法律行為を行う際には、自らの名前ではなく、本人の名で行う必要があり、これを「顕名の原則」といいます。

また、代理人がその権限を逸脱して行動した場合、原則としてその行為は本人に効力を及ぼしませんが、本人が後からその行為を認めれば(追認)、有効な代理行為として扱われることになります。代理制度は、本人が直接行動できない場合でも取引が可能となるようにすることで、社会生活における法律関係の円滑な処理を支える重要な仕組みです。

代理権には複雑な法律関係が絡む場合は多く、単なる任意代理権だけでなく無権代理、表見代理などトラブルに発展することもあります。

« Back to Glossary Index