自由法曹団
自由法曹団は、日本におけるリベラル・革新系の法律家によって構成される団体であり、主に人権の擁護と平和憲法の理念の実現を目指して活動しています。1921年に創設されたこの団体は、日本における最も歴史のある法曹団体の一つであり、戦前・戦後を通じて常に社会の民主化運動と密接に関わってきました。その設立の背景には、治安維持法のもとで言論・結社の自由が抑圧されていた時代に、国家権力に対して法の力で対抗しようとする法律家たちの決意がありました。
戦前には、治安維持法違反で起訴された社会運動家や共産党員の弁護を引き受けるなど、国家による弾圧と闘う立場を貫きました。戦後は、日本国憲法の制定を受けて、その平和主義や基本的人権の尊重という理念を実現するための法的実践を主軸に据え、労働運動、市民運動、反戦運動、差別撤廃運動などと連携しながら、幅広い分野で活動を展開してきました。
思想的には、自由法曹団は一貫して進歩的・左派的な立場を取り、憲法改正、とりわけ第9条の改正に強く反対してきました。また、戦争法(安全保障関連法)や共謀罪法、特定秘密保護法など、国家権力の強化に繋がるとされる立法に対しても反対の立場をとり、市民の自由と人権を守るための活動を積極的に行っています。こうした活動の根底には、法は国家権力を統制し、市民の自由を保障するものであるという確固たる信念があり、それは「憲法を守る法律家」としての使命感にも通じています。
また、同団体は単なる法的実務の集団ではなく、社会変革を法の力で支えることを使命とする運動体の性格をもっており、学者や研究者、労働組合、市民団体などとも連携し、立法や行政に対する提言も活発に行っています。こうした点で、自由法曹団は、法律家としての専門性を基礎としながらも、単なる法解釈や訴訟代理にとどまらず、法を通じて社会的正義を実現しようとする実践的かつ思想的な集団といえるでしょう。
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