弁護士に法律相談・事件の依頼をするときの心掛け

目次

法律相談時の心掛け

心掛け弁護士とアポが取れて指定された相談日に訪問する際の注意・心掛けを案内いたします。約束が出来たからと言って、ただ約束の時間に行けばいいというものではありません。決められた時間内に効率よく相談し正しいアドバイスをもらうための準備が必要です。

 

時間・約束を守る

相手が弁護士に限らず約束の日時を守るのは人として当然です。弁護士の中には分刻みに予定が詰まっている人もいますし、当日他の依頼者との面談や裁判が入っているかもしれません。良く言われます約束の時間の10~15分前までには弁護士事務所に着くように心掛けましょう。

 

また、約束の日時に用事が出来て行けない場合は、遅くとも前日までに連絡をしましょう。弁護士の心証を悪くして後日相談はしてもらったが処理の依頼を受任してもらえなかったということの無い様にくれぐれも注意してください。

 

関係する書類は全て持参する

別章の「弁護士に相談・依頼する場合の準備」で説明した弁護士に相談や法律事務を依頼するために準備したファイルは必ず持参します。仮に裁判になる様な場合、日本の裁判では、正しい者が勝つのではなく証拠が有る方が勝ちます。証拠を積み重ねて事実を明らかにして裁判官の判断を仰ぎます。ですから、相談する際に弁護士に提示して正しい判断が出来るようにしておきます。書類を提示することで弁護士に相談する時間も節約することが出来ます。

 

なお、法律事務を依頼する予定である場合には弁護士に預ける書類の明細を作成し、どの様な書類を弁護士に預けたか記録しておきます。可能であるならば、明細書2枚を準備し1枚をファイルに、残る1枚に弁護士の受領文言とサインを貰うと書類の所在が明確で、弁護士に渡した渡していない等のトラブルを回避することが出来ます。

 

質問事項のメモを持参する

前項同様、別章の「弁護士に相談・依頼する場合の準備」で説明した弁護士に相談・確認したい事柄を記載したメモも持参します。そして、質問に対する弁護士の返答やアドバイスは、メモの余白に記録しておきます。

 

同伴者を連れていく場合

弁護士に初めて相談する人にとっては、弁護士との接し方、話し方あるいは弁護士の言っていることが分かるだろうか、と不安になると思います。そういうタイプの人にとって同伴者がいれば心強いものです。予め同伴者を伴う旨話しておけば駄目だという弁護士はいないと思います。また、同伴者がいればメモを取り忘れたことでも後で確認することが出来るというメリットも有ります。

 

しかし、同伴者はある程度常識の有る身内の方を選ぶべきです。声が大きい、出しゃばり、口が軽い、話好きの人は相談がスムーズに行かなかったり、他人にトラブルの内容を漏らしたりすることが考えられます。弁護士の方としても誰が依頼者か分からない位喋りまくられたらアドバイスも難くなります。

 

知っている事実はr全て正直に話す

弁護士から聞かれたことは正直に話しましょう。これを言うと恥ずかしいとか、これは言わずにおこうととか思って大事なことを隠してしまうと弁護士の判断が狂うこともあります。聞かれたことを全て話しても、裁判の当事者尋問で相手方から不意な質問が出て答えると、後で「どうして、ちゃんと話してくれなかったの!」と言われます。(先生は、打ち合わせでそんな質問しなかったじゃないですか?!)と思っても、そこは一歩下がって、「すませんでした。」でおさめてください。

 

簡潔に話をする

弁護士に相談するときに、自分が中心になって話をすると時間はアッと言う間に過ぎます。弁護士によっては、30分をちょっと過ぎただけで1時間として相談料を請求されることも有ります。気の効いた弁護士なら「30分ですけど相談時間はどうしますか?」と確認したりするでしょうが、そのままズルズル相談して1時間半で15,000円請求された、と言うことにもなりかねません。また、弁護士に次の予定があるために相談が中途半端になる可能性もあります。相談すべき内容を簡潔に話をして、後は弁護士からの質問に答えるようにするといいでしょう。

 

確認事項

法律相談の過程で、この弁護士なら信頼できるので事件の依頼をしようと思ったら、費用と今後のスケジュールを確認しましょう。後日、弁護士とのトラブルを回避するためにも重要です。

 

費用の確認

費用については、細かく確認する必要が有ります。弁護士に支払う金額以外に訴訟が必要な場合には裁判所に支払う費用も確認します。
例えば、

  • 着手金はいくらでいつまでに支払えば良いのか。
  • 報酬はいくらか。
  • 報酬の経済的利益となる根拠の金額はいくらか。
  • その他実費として発生する可能性のある項目と金額の目安はいくらぐらいか。
    別途に実費が掛かります、という説明や表現の場合は具体的に確認してください。
  • 控訴する場合は着手金は別途必要か。また目安となる金額はいくら位か。

等細かく確認してください。
弁護士によっては、依頼人が無知で有ることをいいことに過大な請求をすることも十分考えられます。費用の問題を曖昧にする弁護士は注意が必要です。数字については具体的に確認してください。裁判には勝ったが費用倒れで赤字だったでは、相手方を懲らしめるつもりなら良いかもしれませんが無駄です。

 

スケジュールの確認

また、弁護士に依頼してからのトラブルで多いのが、「仕事が遅い」とか「進捗の報告・連絡がが全くない」ということです。事件の依頼をするのを前提に、今後の段取りを詳しく聞くことで、スケジュール通りに進捗しなかったときに弁護士に確認すれば、それが圧力にもなります。
ポイントとしては、依頼する事件によって違ってきますが、

  • 受任通知はいつ出すのか。
  • 訴訟の提起はいつ頃になるのか。
  • 口頭弁論(裁判)は何回くらいと思われるか。
  • 相手方に出した通知書及び訴状の写しはもらえるのか。また、訴状に間違いが無いか確認させてもらえるか。

以上の確認の際には、自分から弁護士に対して生半可な知識を振りかざして、「先生、まず受任通知を出してもらえますよね。」とか、「提訴までは1ヶ月くらいですか」とか指示・命令と思われる表現は使わない方が良いです。
弁護士に言わせて、それを確実に履行させるようにした方が良いです。
確認したスケジュールは、弁護士の目の前でメモをとります。これが弁護士に対する無言の圧力となり、また、いい加減な対応出来ない相手だなと印象づけられます。
そして、希望が有ったら差しさわりの無い様ににお願いしましょう。
例えば、

  • 電話は出られない場合が有りますので、連絡はメールか報告書で戴けますか。
  • 相手方が和解案を出してきたら連絡は貰えるんでしょうか。

(予め、和解について承諾している場合は除きます)
以上のことで、進捗が遅いとか連絡が無いといった問題が有る程度解消されますし、「どうなっているんだろう」というストレスからも軽減されます。