弁護士の仕事が遅い場合の対処
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仕事が遅くて短気な弁護士
弁護士は、一般に非常にプライドが高く短気です。「どうして、ここで怒るの?」という場面で怒ったりします。今まで、ワイワイ楽しく酒を飲んだり、冗談を言っていたのに急に不機嫌になる弁護士もいます。また、僅か5分だけ約束の時間に遅れただけで立腹して帰ってしまう弁護士もいます。(もちろん、我々一般人並みの感覚を持ち合わせた普通の弁護士も数多くいます。)
その為、弁護士に依頼した法律事務の仕事が滞っている場合に進捗を促すためには、丁寧に気を悪くしないように心掛けた方が良いです。
相手方に対して、連携して対抗してくれる頼もしい助っ人でも有るわけですから、内紛を起したり、意思の疎通に欠けると、反って相手を利することになりますので、我慢できるところは、グッと抑えましょう。
事案毎に弁護士の進捗が遅い場合の対処を説明いたしますが、依頼している弁護士の性格等に左右されますので、臨機応変に対応して下さい。
仕事が遅い場合の状況別対処法
受任通知の発送
弁護士が法律事務を行うことを承諾して、契約を交わした場合は、弁護士は相手方に受任通知を発送致します。そうすることで、交渉が困難であったり、嫌がらせをしたり、債務弁済の督促を行ってくる者の窓口を弁護士が行いますので、受任通知は早く出すほど依頼者の負担は軽減されます。
そのため、弁護士に依頼して10日~2週間を経過しても嫌がらせや督促が続く場合は、早く弁護士に連絡して、「先生、まだ先方から電話が来るんですが、受任通知は送って頂いていますでしょうか?『弁護士の先生に依頼してあるので、話は弁護士にしてくれ』、と言っても良いでしょうか?」という感じで弁護士に話して下さい。
打ち合わせの予定の連絡がない
普通は、弁護士に相談する段階で、資料を持って行き弁護士に確認して貰い、簡単な打ち合わせも行ったりしますので、改めて打ち合わせをすることは無いのですが、込み入った案件で有ったり、相手方が予期せぬ主張をしたために打ち合わせを必要とする場合が有ります。その際、当然に弁護士の方から、「もう少し、○○について詳しい話を聞きたい。日にちを改めて連絡するから時間を空けてくれ」と言うようなことが有ります。ところが、それっきり連絡が無い。と言うような場合は、弁護士にいつ頃お伺いしましょうか?と連絡した方が良いです。「あ~、あれ?あれは必要無くなったよ。」と言われることも有ります。
「何なんだよ、いいかげんな!」と怒らずに、『流石、弁護士?!』と納得することです。
進捗状況
弁護士に、訴訟を含む法律事務の依頼をしたのに、全く進捗の報告が無いことが有ります。報告が全く無いと、手続きが本当になされているのか、交渉や訴訟は当方が有利に行われているのか、あるいはいつ頃までに解決するのか等々不安を抱えながら待つことになります。
まず、一ヶ月ほどして何の連絡が無ければ、「何か相手から連絡が有りましたか?」とか、「裁判(口頭弁論)の日にちは決まったのでしょうか?」程度の連絡を入れましょう。間違っても、「未だですか?」とか、「遅いですね」や「早くしてもらえませんか!」といった直接的な催促は止めましょう。
但し、債権者として金銭の支払いを求める事案で、相手方が財産の処分や名義変更を画策している様な情報が入った場合は、直ちに弁護士に連絡して、急いで手続きをしてもらったり、保全のために別途手続きを取ってもらうことは大事です。
なお、弁護士の返事が本当かどうかもチェックしないといけません。嘘はだいたい話していて分かるものですが、信用できる言い方と、信用できない言い方が有ります。
「ちょっと、待って下さい。記録持ってきますから・・・」「何日に裁判所に出していますから、呼び出し状が届くころですね」とか「第一回の口頭弁論は、○○月○○日です。」とか具体的な内容の場合は間違いないです。
一方、「2、3日前に裁判所に出しましたから、呼び出し状が届くまで1ヶ月掛かりますね」というような返事の場合は、今から出すつもりでしょう。「ちょっと調べて、後で連絡します。」という返事で、全く連絡がない場合は、全くの手つかずです。
事件終結後
事件が終結したはずなのに、全く連絡が無い場合はなるべく早く連絡を取った方が良いです。特に、金銭の回収が伴う場合は、弁護士が着服する可能性もあります。「まさか、弁護士が?!」と思うかもしれませんが、この手のトラブルは結構頻発しています。
また、裁判で勝訴しても早めに動かないと、相手方が財産を隠蔽したり、あるいは他の債権者が先に回収して、高い費用を掛けて裁判をしたのに回収できず費用倒れになることもあります。
進捗が遅くてもやってはいけない行動
進捗が遅く連絡が無い場合の対応の手段ですが、連絡が全く無いからといって約束もせずに、いきなり弁護士事務所に行くのは避けるべきです。弁護士は、貴方の事件だけを担当しているわけでは無く、他の事件も数多く抱えていたり、人と会う約束かあったり、また裁判に出廷したりします。予定外のスケジュールで一日の行動が制限されることは避けてあげるべきです。
電話もしくはメールで連絡を取り、必要に応じて弁護士の予定を聞き面談するようにした方が望ましいです。
弁護士からの連絡も、本来であれば不動産取引における「専属専任媒介契約」の様に、定期的な報告を義務付けた方が良いように思われます。
多額の弁護士報酬に見合うだけの業務の一環として考慮して頂きたいものです。
ただ、煩わしいので弁護士からの報告は一切要らないし、全て弁護士に任せるということで有れば、予め弁護士に、「進捗の連絡は、最低限度で構いません」という意思を伝えておけば、細かい連絡は少なくなると思われます。
しかし、事が有利に解決すれば宜しいですが、極めて不利になる場合も有りますので連絡はこまめに受けるのをお勧め致します。