信じてはいけない弁護士事務所の虚偽広告「借金救済制度」の正体

「借金救済制度」の正体とは

「国が認めた借金救済制度」の広告の裏側

借金返済計画のイメージ図

最近インターネット上で「国が認めた借金救済制度」、「国が認めた借金減額制度」や果ては「借金全額免除」といった広告が見られるようになっています。しかし、これらの広告の多くは誇大広告を超えた虚偽広告に近いものであり、実際には制度化された借金減額や免除等の特別な救済策が存在するわけではありません。これらの広告では借金の問題がすぐに解決されるかのように装っていますが、その裏には高額な手数料を請求したり、不適切な対応をする弁護士や司法書士の他非弁活動を行う悪質な業者が潜んでいる場合もあります。また、非弁活動を行う業者が弁護士や司法書士に支払困窮者を紹介するケースも発生しています。これらは悪質な貧困ビジネス業者です。

 

一部の弁護士や司法書士の中には貧困ビジネスとの認識が有りながら債務整理を受任していることもあります。以前、支払能力も支払意思も無いのに新たな借入を行って司法書士に支払うために債務整理の費用を準備し、その事実を司法書士も知っていたと思われるケースがありました。明らかな詐害行為であり貧困ビジネスの極みであると言わざるを得ません。

 

制度の実態:債務整理とは何か

ところで、「国が認めた借金救済制度」という言葉の実態は、法律で定められた債務整理の手段のことを指していると思われます。債務整理には主に任意整理、個人再生、自己破産の3つの種類があり、これらは借金に困っている人が生活を立て直すために利用されます。これらの手続きは一般に弁護士や司法書士が介入し、正当なプロセスを踏むことで借金減額や返済計画の見直しを図ります。しかし、このプロセスは申請書を出せば一律に借金が減ったり無くなるものではありません。その意味で「制度化」はされていません。債権者との任意交渉が必要になってきますし、債権者側が必ずしも減額に応じてくれるとは限りません。また、個人再生や自己破産は裁判所に申立てを行う必要があり全てで納得のいく決定が下りるとは限りません。

 

例えば、過払い金が発生し残高が減少していたとしても、それを認めず約定の請求を行ってくる貸金業者も極めて稀ですが現在でも存在します。しかも、「過払金返還請求」や「債務確認請求」の訴えを提起しても争ってきます。それらの貸金業者は、訴訟に安価で円滑に対応できるように弁護士に依頼せず、専門の社員を「支配人」として登記を行い会社として対応してきます。

 

以上のように、制度化されたものではないため、どの方法で債務整理を行うか、債権者はどこか等によって結果は違ってきます。また、相談する弁護士によっても方向性が違ってきますので結果が違ってきます。

 

誇大広告・虚偽広告の一般的な特徴

詐欺広告のイメージ図

誇大広告や虚偽広告にはいくつかの特徴があります。たとえば、「借金が全額免除されます」や「即日借金ゼロ」といった誇張されたフレーズが使われていることもあります。また、相談をすると高額な手数料が要求されたり、不透明な契約内容を押し付けられるケースもあります。こうした広告は、借金に困っている人の心理的不安を悪用して契約を急がせることが特徴的です。特に「存在しない制度」を持ち出して信頼性を装っている場合には注意が必要です。

 

実際に利用されている債務整理の方法

実際に利用されている債務整理の方法としては、任意整理、個人再生、自己破産が挙げられます。任意整理は、弁護士や司法書士が債権者と交渉を行い、利息の免除や返済額の調整を目指すものです。個人再生は、多重債務状況において裁判所を通じて借金を大幅に減額し、3~5年かけて返済する手続きです。また、自己破産は、すべての財産を処分するかわりに借金を免除する仕組みです。これらの手続きは信頼できる専門家に相談しながら進める必要があり、詐欺的な業者や誤った情報に惑わされるべきではありません。

 

以上の手続きは、弁護士や司法書士に依頼しなくても可能ですが専門家に依頼した方が無難です。特に、任意整理は自ら交渉しようとしても債権者が応じる可能性は低いです。

 

債務整理の基本概要と種類

任意整理、個人再生、自己破産の違い

債務整理のイメージ画像
債務整理のイメージ画像

債務整理には主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」という3つの方法があることは上述の通りです。これらはそれぞれ異なる特徴や手続きがあり、借金の状況や本人の希望に応じて選択されます。

 

任意整理は、弁護士や司法書士が直接債権者と交渉し、返済額や条件を見直す方法です。主に高額な利息部分をカットしたり、新たな利息を付加せず正常に返済すれば無利息とすることで、借金負担の軽減を図ります。一方で、裁判所を利用しないため、記録として公に残らず債権者が同意すれば比較的簡単に進められる点がメリットです。但し、債権者との間に「債務承認並びに弁済契約」、「償還方法の変更契約」又は「債務更改契約」等の契約を締結することが一般的で、稀に債権者の希望によって公正証書にすることもあります。

 

個人再生は、裁判所を介して借金を大幅に減額する制度です。再生計画を立て、原則3年間で返済する計画を策定します。住宅ローンがある場合でも住居を手放さずに手続きを進めることが可能なケースも多いのが特徴です。この方法は多額の借金を抱えた方が生活を再建するために適しています。債権者としても任意整理よりも内部承認を得やすい傾向にあり、双方にとって煩わしい交渉が少なくて済みます。

 

自己破産は、その名の通り全ての返済義務を免除してもらう法的手続きです。ただし、一定の財産が没収される可能性や、職業や資格に一時的な制限がかかる場合もあるため、慎重な判断が求められます。

 

一般的には、「免責決定」がなされ「同時廃止」になるため返済の苦痛からは解放されます。但し、破産が決定されれば「官報」に記載されますが、一般の人が「官報」を見ることはほとんどなく知人、友人及び親戚に分かることは、まずありませんが、業務で資格を持っていたり、責任者として登録する際に法務局発行の「身分証明書」の提出が必要な場合は、「身分証明書」に破産の事実が記載されるので、就業先に分かります。

 

なお、戸籍が汚れるとか戸籍に「破産」と朱書されるという事実は現在では無く都市伝説となっています。昭和25年の戸籍法改正で廃止になっていますので心配いりません。

 

これらの方法を選ぶ際には、借金の総額や収入、生活状況などを考慮し、弁護士や司法書士に相談して適切な方法を決定することが重要です。

 

債務整理のメリットとデメリット

債務整理は、多重債務を抱える方にとって借金問題の解決を図る有効な手段です。しかし、すべての選択肢にはメリットだけでなくデメリットも存在します。

 

債務整理のメリット

メリットとしては、まず金銭的負担の軽減が挙げられます。例えば任意整理では将来発生する利息をカットし、個人再生や自己破産では元本の減額や全額免除が可能です。また、これらの手続きを通じて借金の取立てが停止するため、精神的な安定を得ることにも繋がります。

 

債務整理のデメリット

一方でデメリットも無視できません。債務整理を行うと、信用情報機関に記録が残り、いわゆる「ブラックリスト」に載るため一定期間新しい借入やクレジットカードの利用が制限されます。また、手続きには費用がかかるため、場合によっては弁護士や司法書士への依頼料が負担となることがあります。

 

さらに適切な手続きを選ばないと返済額が増える結果に繋がるリスクもあります。このため、信頼できる専門家に相談し、誇大広告や存在しない制度に惑わされないよう慎重に判断することが必要です。

正当な債務整理手続きの流れ

債務整理を進めるには、まず正当な手続きの流れを理解しておくことが大切です。不正な「借金救済制度」広告に惑わされないためにも、信頼できる弁護士や司法書士と連携することが基本となります。

 

最初のステップは、専門家に相談し、現在の借金額や返済状況、収入・支出を正確に把握することです。その上で、各債務整理の方法(任意整理、個人再生、自己破産)の中から、どれが最適かを検討します。

 

次に、選択された手続きに基づき必要な書類を準備し、具体的な行動を開始します。任意整理であれば、弁護士や司法書士が直接債権者と交渉し、返済条件を調整します。個人再生や自己破産の場合は裁判所への申立てが必要になり、それに沿った手続きが進められます。

 

その後、交渉や裁判所の判断の結果を基に新たな返済計画が決定し、債務整理が完了します。この一連の流れを安心して進めるためには、信頼できる専門家や無料相談窓口を活用することがポイントです。正しい情報に基づいて行動することで、不当な費用請求や契約トラブルを避け、確かな方法で借金問題を解決することが可能です。

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