離婚調停
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離婚調停は、夫婦間で離婚に関する話し合いがまとまらない場合に、家庭裁判所で中立的な第三者である調停委員を交えて協議を行う制度であり、いわゆる「調停前置主義」により、裁判による離婚を求めるにはまずこの調停を経る必要があります。調停は、家庭裁判所に申し立てることで開始され、通常は男女各1名の調停委員と裁判官が、当事者双方の主張を個別に聞きながら、冷静な話し合いを促して合意形成を目指します。この場では、離婚そのものだけでなく、親権、養育費、財産分与、面会交流などの付随的な問題も同時に協議されます。調停は非公開で行われるため、プライバシーが守られ、当事者が心理的に負担なく話し合えるよう配慮されています。
しかし、調停によっても合意に至らなかった場合、すなわち「調停不成立」となった場合には、その旨が記載された調停不成立調書が裁判所から交付されます。これをもって、当事者は訴訟に移行することが可能になります。訴訟では、家庭裁判所が双方の主張や証拠をもとに法律的な判断を下し、離婚の可否や親権者の指定などを命ずる判決を出すことになります。ただし、訴訟で離婚が認められるには、民法が定める法定離婚原因が存在する必要があり、たとえば不貞行為や悪意の遺棄、配偶者の生死不明、強度の精神病などが該当します。このように、調停は円満な解決を目指すための第一段階であり、不調の場合には裁判という対立的な手続へと移行するというのが、離婚調停の基本的な流れです。
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