労働審判
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労働審判制度は、労働者と使用者の間で生じる個別労働紛争、たとえば不当解雇や賃金の未払い、労働条件の不利益変更などについて、迅速かつ実効的に解決を図ることを目的として、2006年に導入された司法手続の一つです。この制度では、地方裁判所に設置された労働審判委員会が中心的な役割を担い、裁判官1名と労使双方の実情に詳しい労働審判員2名の計3名で構成される合議体が、申し立てられた紛争の実態を把握し、公正かつ実情に即した判断を下します。
労働審判の最大の特徴は、その迅速性と柔軟性にあります。原則として3回以内の期日で審理を終え、和解の成立を目指し、それが不可能な場合は、審判という形で一定の解決案を提示します。これにより、通常の訴訟手続きよりも短期間で、かつ費用を抑えて紛争を解決できる可能性が高まります。また、審判に不服がある場合は、審判書の送達から2週間以内に異議を申し立てることで、通常訴訟へ移行できるため、当事者の権利保護にも配慮されています。
このように、労働審判制度は、労働紛争の迅速な解決と、労使間の信頼関係の回復を促進する効果を持ち、労働者の地位の安定と企業活動の円滑化の両立を図る上で、重要な役割を果たしています。
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