弁護士に相談・法的処理を依頼した方が良い場合・悪い場合

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弁護士に依頼した方が良い場合

法的なトラブルに巻き込まれたからと言って全て弁護士に依頼すれば全て円満に解決出来るというものでも有りませんが、次の様なケースでは、やはり弁護士に依頼した方が良いでしょう。

 

訴訟になった場合

トラブルの結果として訴訟に発展した場合、特に相手方が弁護士を立てて争ってきた場合は、まず弁護士に相談・依頼する方が賢明です。弁護士は、一般的に負ける裁判は引き受けてくれませんが、トラブルの内容を相談し解決の見込みがあるならば依頼すべきです。弁護士の中には、はっきりと「負ける裁判なんかやりませんよ。」と公言する弁護士もいます。そうすると、相手方は勝算ありの勝負に出てきている可能性が高くなりますが、相談できる弁護士は対抗策を持ち合わせていたり和解まで持ち込めると踏んでいる場合は引き受けてくれます。負ける裁判を何故引き受けないかは、一つには成功報酬が得られないこと、つまり「骨折り損の草臥れ儲け」になること。そして、裁判に負けることで自尊心と箔が落ちることへの懸念があると思われます。

 

相手方が弁護士を立ててきた状況で素人が弁護士に対抗しても勝ち目はほとんどありませんし、俄かに覚えたての法知識で公判に臨んでも恐らく裁判官の言っていることの意味も理解できないと思います。口頭弁論では独自の進行があり、言葉の意味も我々が日常的に使っている意味とは違ったりします。また、相手方が過去の判例で不当となっている主張を行ってきても反論しない限り、裁判所がわざわざ「その主張は最高裁で判例がありますから無効です。」とは言ってくれません。簡易裁判所の場合は、裁判官が比較的分かりやすいように説明もしてくれますが、地方裁判所になるとそうはいきません。裁判所の雰囲気だけでも一気に変わります。相手方が弁護士を立ててきたら、こちら側も弁護士を立てるのが効果的です。

 

また、相手が弁護士を立てずに提訴してきた場合も弁護士を立てた方が勝訴の可能性は高くなりますが、金額面で折り合いがつく見込みが高かったり、少額で、弁護士費用を見込むと却って損する場合は依頼の必要はないでしょう。

 

任意交渉の余地が全くない場合

相手方が感情的になっていて全く交渉の余地が無かったり、極めて理不尽な要求を主張して任意での交渉が不可能であったり、または、反社会的勢力に属していたりして交渉が不可能な場合は弁護士に依頼する方が得策です。
弁護士に依頼した後は、「弁護士に依頼してあるので代理人の弁護士に話してくれ」と主張すれば交渉の必要はありません。

 

他人との交渉が不得手の場合

なかなか思った通りの主張が出来なかったり、話下手で交渉はしたくない、あるいは出来ないという方は多少費用が嵩んでも弁護士に依頼した方が解決が早く、しかも依頼者の側に落ち度が無ければ期待した通りの結果が得られる可能性が高くなります。
毎日、不得手な交渉のために悩み考えるよりもすっきりするでしょうし、交渉が不得手の方は相手の勢いに押されて不利な条件を飲むこともあり得ますので弁護士に依頼するのをお勧めいたします。

 

任意交渉の時間が取れない場合

多忙で任意交渉の時間が取れず相手方のペースで交渉が進んでいくような場合や手段を講じないために不利になったり、保全処置がとれない場合も、弁護士に法律相談をしたのち、このままでは不利な結論に至るというような場合は弁護士に依頼して、時間的に有る程度解放され正業に打ち込んだ方が良いでしょう。

 

法知識を全く有していない

今までトラブルと無縁な生活をしてきて、全く法知識が無く、さっぱり訳が分からない状況の人は、いきなり内容証明で訳の分からないことを言ってきた、裁判になった、と慌てるだけでどう解決の糸口を探したらいいものか分からないと思います。そういった類の方は落ち着いて弁護士に相談したのち必要に応じて弁護士に依頼した方が良い結果を得られる可能性が高くなります。

 

当事者以外の第三者の介入が有る場合

同時者同士で話し合いを持っている場合はまだ良いのですが、相手方の親戚・縁者、友人等の第三者が介入してきた場合は、ほとんどの場合解決は難しくなります。しかも、声が大きい、態度がでかい相手だと圧倒されることもしばしばで不利な条件を飲まざるを得ません。

 

第三者が介入してきたら彼らを排除する意味でも弁護士に依頼して当事者間で解決策を模索した方がいいです。不当に第三者が介入してきた場合は状況をつぶさに記録し、威圧的な態度は無かったか、脅迫的な態度で無理に和解を強いられなかったかを記録しておきます。

 

脅迫を原因とする契約は無効を主張出来ますし、場合によっては非弁活動(簡単に言えば、「弁護士で無い者が報酬を得て弁護士と同じような業務を行うこと」です)として相手方を訴えることも出来ます。

 

弁護士に依頼しない方が良い場合

依頼することでこじれる場合

トラブルが起きたからと言って全て第三者である弁護士に依頼しても反ってトラブルになるケースも考えられます。軽微な身内のトラブルで少し時間をおけば解決できるような問題は、弁護士に法律的にどちらが正しいのか、解決策としてどういう方法が有るのかを相談するのはいいとしても、弁護士に依頼したことによって、事を荒げたといって意固地になり話し合いが出来なくなるケースもあります。相手の性格も十分理解し時間を少し置けば丸く収まるような場合は少し様子を見た方がよいでしょう。

 

弁護士に依頼して原告・被告の関係になってしまうとそのまま対立関係を維持してしまいかねません。弁護士は、その時だけの当事者ですが、親子で有ったり、隣人の場合は以前の関係に戻ることは不可能であったとしても、なるべく穏便に生活したいものです。特に、田舎の方になりますと村を二分する争いになりかねません。このような場合は弁護士よりむしろ地元の有力な仲裁者にお願いするのも解決方法の一つかもしれません。

 

金額的なメリットが得られない場合

また、少額な場合は弁護士に依頼することによって反って出損を招くこともあります。もともと双方譲り合いで解決出来る様な事案を弁護士に依頼して、結局想定の範囲内の減額で折り合ったとしたら、弁護士に支払った報酬相当額が余分な費用ということになり弁護士に依頼するメリットはなかったことになります。