弁護士に直ちに依頼した方が良い場合
目次
トラブルに巻き込まれて解決策が見えてこない場合は、早めに弁護士に相談した方がいいですが、次の場合は特に急いだ方が賢明です。
相手方から訴えられた場合
いきなり訴状が送りつけられてくることは少なく、まずは(配達証明付書留)内容証明郵便で通知書が送られてくるのが一般的ですが、その段階で安易に考えていますと訴状と一緒に口頭弁論期日呼出状が送付されてきます。
口頭弁論期日は、概ね一ヶ月程度後の日時が指定されています。この場合、相手方の主張を納得して受け入れる場合は別ですが、明らかに争いが有る場合で対応の仕方が分からない場合は、急いで弁護士を探すべきです。
一ヶ月ちょっとの期間は右往左往していたらすぐきます。相談した弁護士が事件を扱ってくれるかどうかも分かりませんし、あまり信頼が出来ないので場合によっては他の弁護士を探さなければならないかもしれません。また、なるべくなら答弁書も準備しないといけません。最悪口頭弁論日に提出しても良いですが、早めに提出して相手方に到達していれば第一回口頭弁論日に主張をしたことになりまし、都合が悪くて出頭しなくても主張を陳述したものとして扱われますので不利な扱いを受けません。
トラブルによって精神的苦痛が有る場合
毎日トラブルの相手方が陰湿で過度な嫌がらせを受けたり、暴力的な態度で身の危険を感じたり、借金の督促に追われ苦痛な日々を過ごしているような場合も早めに弁護士に相談した方が賢明です。
弁護士が受任すると受任通知を相手方に送付いたしますので、その後は相手方から嫌がらせや督促を受けることは非常に少なくなります。場合によっては全く無くなることもあります。また、弁護士に相談するまでは、全く解決の手段が見いだせなかったのに相談してみたら以外と簡単に解決した、と言うこともあります。
仮処分・仮差押等の強制処分を受けた場合
いきなり財産を差押えられた等の場合も早めに弁護士に相談した方が良いでしょう。仮処分・仮差押だけで財産の処分がされるわけでは無く、本訴を提起して判決を得ないと最終的な処分は出来ませんが、その間は任意での処分等は出来ませんし、銀行等との取引が有る場合は取引停止を受けることもあります。
銀行等金融機関の取引約定書や金銭消費貸借契約書には期限の利益喪失条項や取引停止条項に必ず「仮処分及び仮差押を受けた場合」の記述が入っています。
相手方が財産の隠蔽を画策しているとき
逆に相手方に金を貸していたが、全く返済してくれない状況で、自宅を売却したり親族名義に変更する等の画策を図っているような場合はすぐに仮差押等の保全処置をとる必要があります。売却されたり、名義を変えられたりすると強制執行等の手段で回収することが出来なくなります。なお、銀行等の金融機関が間に入って抵当権の実行の代わりに任意売却の手続きを行っている場合には、金融機関側から取下げのための和解金の提示がなされる場合があります。
仮押等の手続きは俄かに覚えられるものでは有りませんので専門家である弁護士に依頼するのが賢明です。しかも、売却先が決まり決済方法が現金の場合は、数日で所有権移転登記まで出来ますので一刻を争います。
地域に弁護士が少ない場合
地裁の支部しか無い地域、もしくは簡易裁判所しか無い様な地域は弁護士がいなかったり、いても数名ということもあります。相手方が先に近くの弁護士に事件を依頼したり相談した場合は、別な弁護士を探さなければなりません。そうなると、相談に行くにも一日かがりということになりますし、一回行っただけでは探せないかもしれません。明らかに訴訟になるようなトラブルの場合は相手より先に身近な弁護士を探した方が有利になります。
また、弁護士の少ない地域の弁護士はその地域の「名士」で有る場合が多く、幅広い人脈が有ります。さらに、弁護士は地方行政にも関わりを持っている場合がありますので、トラブルの相手方が地元の自治体や地元有力者、地場産業の経営者で有る場合は日ごろの付き合いから受任してくれない場合もあります。その場合も県庁所在地等の弁護士の多いところまで弁護士を探しに行く必要が有ります。
刑事事件の容疑者にされた場合
誤って事件を起こしたり、身に覚えのない事件の容疑者として警察に逮捕されたりした場合は、弁護士を探すという時間的な余裕は有りません。その場合は、各弁護士会の当番弁護士に依頼する方が確実です。当番制度は弁護士会によって違いがありますが最初の接見は無料のところが多く弁護士に対応を聞いた方が不安も解消されますし、間違った供述をすることも少なくなります。
なお、弁護士を雇う金銭的余裕がなくても刑事事件は弁護士を付けるのが必要ですから国選弁護人を選任することが出来ます。