専門分野・得意分野別の弁護士の呼び方

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弁護士にも得手・不得手が有りますし、弁護士事務所によっても得意分野があります。特に、都市部ては専門化・分業化が進み5大弁護士事務所等は特に顕著です。一方で、地方では町医者と同じく多分野の事件を処理しなくてはいけませんので、多方面に渡って弁護士活動を行う傾向があります。ここでは、弁護士の専門・得意分野から見た弁護士の呼称を説明いたします。

 

渉外弁護士

外資系企業をクライアントに持ち企業法務をメインとして扱っている弁護士で反対は国内弁護士・法廷弁護士です。大手四大法律事務所もしくは五大法律事務所と呼ばれている法律事務所は元々は大手四大渉外法律事務所(大手五大渉外法律事務所)とも呼ばれ、渉外案件を得意分野としています。渉外弁護士は、担当する国の社会事情に詳しく、語学力や外国法の知識も必要になります。また、一般的に法廷に立つことが少なく、もっぱら書類の作成等に従事することが多くなります。国籍や帰化を扱う弁護士も民事渉外弁護士と言えるかもしれません。

 

商事弁護士(国内ビジネス弁護士)

商行為・商取引及び企業の再建、清算等の商法を中心とした企業法務を得意とする弁護士で、その守備範囲は広く、金融法務、M&A、労働問題、知的財産、倒産、国際取引、投資ファンド、証券化、特許等に及びます。紛争時は、大型の弁護団を組成して臨むことが有りますが、一般に契約関係の業務が多く所謂法廷弁護士とは職務の内容が異なります。

 

消費者系弁護士

消費者系弁護士は、消費生活の中で消費者の利益や権利に関する問題を専門に扱う弁護士で、購入商品の欠陥や瑕疵による問題、健康上の実害の解決、損害の補償等を求める弁護活動を行うものです。いわゆるクレサラ問題(クレジット及び消費者金融に絡む多重債務者支援活動)を社会現象として捉え、活動したのも消費者系弁護士です。一般に左翼系弁護士が多い傾向に有ります。消費者系弁護士の中でクレジット及びサラ金問題に特化して取り組んでいる弁護士を「クレサラ弁護士」と呼ぶことが有ります。

 

労働弁護士(労弁)

労働条件、解雇等の労働問題に特化した弁護士で、経営者側の弁護士と労働者側の弁護士がいます。信条として労働者側の弁護士は、企業からの依頼は引き受けない弁護士も見受けられます。逆も、またしかりです。労働問題を取り扱う弁護士団体として、旧総評系「日本労働弁護団」があります。