弁護士は仕事が遅く連絡・報告もしない
目次
弁護士の怠慢による依頼業務の遅滞
弁護士のイメージと相違する業務の遅滞
重複した指摘になりますが、弁護士は、何年も休むことなく計画的に勉強した人だけがたどり着くことが出来る日本最高の知的頭脳職集団だと言うイメージから、当然仕事に於いても日々計画的にテキパキと進めていくだろうと想像しがちですが、どうもそうではない弁護士も多いようです。弁護士の懲戒請求で2年間も依頼された事案を放置していたと言う例や控訴や上告を怠り判決が確定し依頼者に不利益を与えた例がありました。2年は長すぎるとしても数ヵ月全く進捗しないというのは結構多いです。
遅すぎる受任通知の発送
弁護士に法的トラブルの解決のため委任しても、あり得ないことですが受任通知さえも発送の遅い弁護士がいます。受任通知を受け取らない限り相手方は直接連絡してきますので、場合によっては精神的苦痛を受け続けることになります。さらに、受任通知は発送したものの、その後放置したままということもあります。
明らかに放置していた例
ある弁護士は、事件の依頼を受けて受任通知と催告書はすぐに出したのですが、それから1ヵ月近く全く進捗の連絡が有りませんでした。そこで、弁護士に進捗確認を行ったところ、全く連絡をしていなかったらしく、その後、相手方に電話して「あと、1ヶ月程待ってほしい」と言われ、快諾していました。さらに、その1ヵ月を過ぎても連絡が無いので再び架電して確認すると、また相手方に電話して返事をもらうような状況で、とても、積極的に交渉や期日管理を行っているようではありませんでした。
長すぎる提訴までの期間
また、話し合いが決裂して法廷で争うことになり提訴することになったとして、普通に考えれば相手方の登記事項証明書または住民票等を揃えるのに3日~1週間で郵送で取得するにしても10日、そして、その間に添付する証拠を揃え、訴状を作成すれば概ね14日も有れば裁判所に持ち込むのには十分と考えられますが、弁護士が仕事をすれば1~2ヵ月位掛かります。日本の裁判制度自体がのんびりしていて刑事事件に至っては第一審だけで数年掛かることも有りますから、法曹界の統一的スピード感覚なのかもしれません。
弁護士業務の煩雑さに起因する遅滞
業務量の多さと高度な専門性
弁護士の業務は一定のスパン毎に区切りや締め日があるわけではなく、同時に複数の案件を個別に処理しながら進める必要があります。そのため、公判や口頭弁論が続く場合はその前後で準備や整理のために時間がとられます。さらに、案件ごとに異なる法律や事実関係を深く掘り下げる必要がありますので、個別の内容を精査する必要があり多忙になります。そのため、優先順位をつけて業務を遂行することで他の案件に一定の遅延が発生することがあります。法律の解釈や適用には、非常に高度な専門知識が必要です。また、案件によっては難解な法的問題や新しい判例を調べる必要があるため、調査や分析に時間を要することがあります。
以上のように、キャパシティを超えた業務量の多さが受任した法的処理の遅滞を招いていることが考えられます。
スケジュール管理の難しさ
弁護士の業務には緊急の案件や突然の依頼が入ることがあります。忙しければ急な依頼は断れば良い、というわけには行けません。また、当番弁護士の場合に刑事事件の容疑者から依頼されることもあるかもしれません。そのような場合、予定していたスケジュールが困難になる場合があります。この結果、業務が後ろ倒しになり、遅延につながることがあります。特に、街弁や小規模弁護士事務所の場合は、新規の案件を担当させられる弁護士がいないので負担が大きくなります。
弁護士の仕事が遅い場合の問題点
民事裁判の遅滞の場合
民事裁判においても、度々弁護士のルーズな面が窺われます。中には、戦術としてわざと遅らせることもあるようですがフェアな戦いでは有りません。
例えば、第一回口頭弁論(一般でいうところの裁判)において、被告代理人の弁護士が「追って答弁書を提出致します。」と返答するケースが多々ありますが、裁判官から「被告代理人、答弁書は予め提出して下さい。」と注意されることが有ります。裁判官にしてみれば、ここで一日を無駄にするわけですから本心は、「ぐずぐずせずに早く出しなさいよ。」と言いたいのだと思います。
しかも、中には第一回口頭弁論で「追って、答弁書を提出します」と言っておきながら、第二回口頭弁論当日に提出する呆れた弁護士もいます。このようなやり取りの口頭弁論は、わずか5分ほどで終わります。そして、次回の公判までの1ヶ月から1ヶ月半を無駄にすることになります。
こういった引き延ばしによって、当事者とりわけ攻撃をうける側(債務者や被告側)は精神的な苦痛をうけます。ストレスで身体に異常をきたしたり、平穏な生活を阻害されたりするわけですから、法を遵守し社会秩序を守る立場の弁護士は、下手な作戦は用いずに心して対処するべきです。
裁判以外の遅滞の問題
民事裁判に限らず、任意交渉などの通常の業務処理においても、依頼業務の遅滞は重大なトラブルを起こすことがあります。例えば、数年前に貸付けた金銭の回収を依頼された場合に、放置していたために時効に掛かるということが考えられます。また、相手方が所在不明になったり、財産を処分したために強制執行による回収が困難になるということもあり得ます。
弁護士からの報告、連絡
報告・連絡がない
仕事が遅いだけでなく進捗状況を全く連絡してこない弁護士も多いです。ある女性弁護士は事件を依頼して2ヵ月間何にも言ってこないので電話したところ「もう少し待ってくれ。」との返事でしたが、それからさらに2ヵ月程しても連絡ないので電話したところ、「事件を担当してくれる先生が見つからないのよ。」と言われましたので、「先生が担当してもらえるんじゃないんですか?!」と問いただしたら、「私はしないわよ。復代理人として別な先生に頼むから・・・」と言う返事でした。頭にきて、すぐに解任しましたけど・・・。最初からそう言って欲しいですね!時間は無制限じゃないんですから・・・
弁護士によっては、1年に数回しか進捗状況を連絡してこない弁護士も数多くいます。法人の顧問弁護士の場合は、会社の法務部等で進捗を上部に報告する必要が有りますので、定期的に報告書を出して貰えるでしょうが、個人で依頼した場合は、なかなか連絡をして貰えません。
報告・連絡をさせる事前の策
弁護士に事案を放置されないようにしたり連絡をまめに貰うためには、最初の打ち合わせの段階でスケジュールを聞き、目の前でノートに書き込んで下さい。目の前でです!文章だけでもかまいませんし、図を交えながら記録してもかまいません。そして、「進捗はどの段階でご連絡戴けるんでしょうか?」「電話ですと連絡が取れないことも有るかもしれませんから、メールか文書でお願いできますか。」と確認してください。「定期的に報告下さい」とか「報告は戴けるんですよね。」等の上から目線で依頼するのはなるべくやめましょう。本当に気難しい人種ですから・・・。
それでも連絡が無い事態が起きたら、別章の「弁護士の仕事が遅い場合の対処」にも記載の通り、気分を害さない程度にこちらから進捗を確認されることをお勧めいたします。多少進捗が遅くても、弁護士と喧嘩しては損をしますので、あまりに酷い場合を除いて『どこかのHPに弁護士は仕事が遅く連絡もしてこない、と書いてあったな~』と思い出してください。