弁護士が依頼を引受けなかったり辞任した場合とその後の対処法

特定の案件を断られる背景にある要因

依頼内容が不明瞭または過度な要求

依頼者からの具体的な目的や希望が伝わらない場合や、要求が過度で現実的でない場合も弁護士が案件を引き受けない理由となります。たとえば、実現可能性が低い訴訟や、法的手続きでは対応が難しい要求が含まれている場合、弁護士はこのような依頼に対して慎重になります。また、依頼者が弁護士にすべてを一任する姿勢を見せると、案件の進行が滞りかねないため、弁護士として対応を避ける場合もあります。

紛争の難易度が高いケース

弁護士が案件を引き受けない理由の一つに、紛争の難易度が高いケースが挙げられます。例えば、相手方が訴訟を重視する姿勢を持つ場合や交渉が成立しづらい状況では、解決までの時間やコストがかかるため、結果的に対応を断られることがあります。また、争点が複雑すぎる場合や法律がまだ成熟していない分野では、弁護士自身が請け負うリスクを避ける傾向があります。

解決困難な事案の特徴

解決が困難な事案では、弁護士にとっても現実的な成果を出すことが難しくなるため、案件を避ける場合があります。例えば、依頼者が任意交渉を希望している一方で、相手方が完全に協力を拒否する状況では、成果を保証するのが難しいと判断される場合があります。また、そもそも依頼内容が法的に正当な解決手段に基づいていない場合にも、引き受けることが困難になります。

報酬や費用の問題

弁護士が案件を引き受けない背景には、報酬や費用に関する問題もあります。例えば、依頼者が十分な報酬を支払う意思や能力がない場合、あるいは費用の負担に対する同意が得られないと、弁護士にとって業務を遂行するメリットが減少します。任意整理のような債務整理案件でも、報酬の支払いに関する曖昧な態度が見られる場合には、案件自体が断られる可能性があります。

弁護士に依頼することで発生する相談料、着手金、成功報酬等の弁護士費用の他、訴訟費用等を合計した金額を上回る金額の回収見込みが無く、依頼者にとってメリットが得られないときには弁護士が依頼を受けることは少ないです。
金はいくら掛かってもいいし赤字でもいいから懲らしめてやりたい、という場合でも法律は私怨を晴らす道具ではありませんので難しいでしょう。

弁護士の倫理規定に触れる可能性がある場合

弁護士は、法的な実務だけでなく、厳しい倫理規定に基づいて職務を遂行しています。そのため、依頼内容が倫理規定に触れる可能性がある場合、弁護士は案件を受けられません。たとえば、完全に相手方を不当に追いつめる目的での依頼や、違法性が高い行為を求められる場合には断らざるを得ません。弁護士は依頼者の意思だけでなく、法律と倫理を守る責任があるため、こういった場合には対応を避けることとなります。

案件を断られてしまった場合の対処法

まずは理由を具体的に確認する

弁護士に案件を断られてしまった場合、まずはその理由を具体的に聞くことが重要です。弁護士は、法律や倫理規定に従って活動しており、一見単純に断られたように見える案件にも正当な理由が存在することがあります。例えば、上述の通り、案件が弁護士事務所の専門分野に合致しない場合や、依頼内容が不明確である場合などが考えられます。また、「訴訟重視の姿勢」や「任意交渉」における苦手意識が理由で対応を避けるケースもあるかもしれません。具体的な理由を確認することで、次の手段を適切に検討することができるでしょう。

他の弁護士への相談をすすめる

一人の弁護士に断られたからといって諦める必要はありません。弁護士にはそれぞれ得意な分野や案件の種類があり、他の弁護士であれば対応が可能な場合も多いです。特に医療過誤や債務問題など、専門性が高い分野では、適切な弁護士に相談することでより最善の解決策が見つかる可能性があります。対処が難しいと感じた場合、複数の弁護士に意見を聞いて比較検討を行うことをおすすめします。

専門性に合った弁護士を探す方法

断られた理由が専門分野の不一致である場合、その分野に特化した弁護士を探すことが効果的です。例えば、任意交渉や借金問題を専門とする弁護士、家族問題や離婚問題に特化した弁護士など、各分野ごとに特化した法律家が存在します。法律事務所の公式ホームページや説明会などで、該当する弁護士や事務所の情報を調べることが良い方法です。また、過去の実績や得意分野をしっかり確認し、依頼内容に適合するか判断することが重要です。

弁護士紹介サービスの利用

専門性が高い案件の場合、弁護士紹介サービスや弁護士会を利用するのも一つの手段です。弁護士紹介サービスでは、案件の内容や依頼者の希望に応じて、適切な弁護士を紹介してもらうことができます。これにより、時間をかけずに必要な専門知識を持つ弁護士にアクセスできる可能性が高まります。特に、自分でリサーチする時間がない場合や、どこから手を付ければ良いか分からない場合に有効な手段です。

依頼者としての心構えや準備

弁護士への相談を進める際には、依頼者としての心構えも重要です。具体的な資料や情報を整理し、自分の抱える問題や希望する解決像を明確に伝える努力をしましょう。また、弁護士にも業務負担や専門の限界があるため、現実的な要求を心がけることが大切です。過度な要求や不明瞭な説明は、案件を受けてもらえない要因となり得ます。信頼関係を築くためにも、相手に配慮しつつ誠実に向き合う姿勢が求められます。